NISは、1997年、息子の誕生とともに歩み始めました。
そのころ、私は妊娠を機に、天職と思っていた看護師を心ならずもやめ、母親教室に通う日々をおくっていました。住み慣れた横浜から都内へ引っ越したことも重なって、仕事からも友人からも閉ざされた、マリッジブルーとマタニティブルーの重ねがけという、人生初めての自分探しを模索する毎日でした。
そんなある日、母親教室でご一緒だったママ友たちと雑談していたときに、一筋の光明を発見したのです。
ママ友たちは口々にいいます。
「こういうときはどの病院にかかればいいの?」
「アトピーっていわれたけど、食事はどうすればいいの?」
「このクスリってどれだけ塗ればいいの?」……
このとき耳にしたママ友たちのちょっとした不安や心配の多くは、私の看護の知識でお答えすることができましたが、胸を衝かれたのは、私の答えを聞いていたママ友たちの表情です。そこに浮かんでいたのは間違いなく感謝の表情だったからです。思い返せば、これがNISのスタートでした。
家庭に入った私でも、看護を通して、ひとの役に立つことができた! その思いは、心の準備もなく結婚・出産・子育てをするなか、ともすれば見失いそうになっていた自己のアイデンティティを、あらためて確認できた喜びでもありました。以来、私は自宅にママ友やその友人たちを集めてお話をする機会がふえ、そんな評判を聞きつけたのでしょうか、地域をこえ、ついには全国からお座敷がかかるようになりました。呼ばれればどこにも飛んでいき、私からの一方的な話だけではなく、座談会や時にはセミナーを開いたりもしました。
そして思ったのです。
看護師の知識や経験は病院だけでなく、生活の中でも生かされるということ。それは、ナイチンゲールがその著書『看護覚書』で、看護は医療現場だけでなく、家庭の中で生かせるメソッドが多いと書いていた通りであり、そこにこそ全国に65万人以上もいるといわれる、結婚や出産を機に職場を去った「スリーピングナース」という貴重な人的「資源」の「再資源化」の道がある、ということでした。医師や看護師が日常考えているほど、医療と国民の距離は近くありません。その狭間に、私たちの活躍の場があるのではないか。しかも今後、ケアの現場は施設から在宅へと移っていくのです。必要なのは、看護を市民の常識の一つとして昇華し浸透させていくこと。その大切さは私が医療提供側から「家族の立場」「母親の立場」に変わって、身を以て体験したことですし、そこで培われた目や体験は、今後、眠りから覚めた看護師が医療現場に復帰したとき、さらに進んだ看護を提供できる原動力になると信じています。
ここに私の活躍場所がある! そう考えた私は、全国20カ所で開催した「賢いママセミナー」や、『看護覚書』の内容を反映して企画し、在宅ケアがメインとなる地域医療でのスムーズな連携のために、家族に一人でも看護教育を受けた人財をつくることを目指した「賢いママ育成プロジェクト」などの活動を始め、そんな多岐にわたる活動が一つに集まるかたちで、2009年、前身であるナイチンゲールスピリッツ委員会ができました。そしてその後2011年4月、一般社団法人として設立、東日本東日本大震災の支援のためのD&A医療チーム発足メンバーとして、一般看護師を派遣するなど、さまざまなボランティア活動も活発に行なってきました。今後はNISにしかできないことに集中したいと団体の活動方針をブラッシュアップするとともに、2015年4月には、活動5周年の祝賀会を開催とともに、その後は新理事の就任に森岡宣伊医師を迎えて、2016年11月に、PINK CROSS PROJECとして、地域密着型のヘルスプロモーション活動として、地域防災活動、医療費節減活動のマンパワーとして潜在看護師の皆さんと繋がって、自分の住む地域のコミュニティの創生にBond(ボンド:語源繋ぐ、結束する、強化する)役になって頂く為のプラットフォーム作りを他団体との連携をしながら行って参ります。たった一人の看護師から始まった活動。そんな「看護師の未来をつくる」私たちNISを、これからもご支援頂ければ幸いです。
ナイチンゲールスピリット連盟の沿革
2002年
潜在看護師復職支援とそのマンパワーを活用した予防フィールドでの健康増進を目指す人材の育成を目指した発足賢いママセミナー、健康セミナ−を各地で開催
2009年2月
ナイチンゲールスピリッツ委員会発足NPO法人国連支援交流協会(FSUN)内での活動もスタート
2009年4月
FSUN 事業部活動:市民フォーラムの企画・運営(参加者約230名))
2009年7月
FSUN 事業部活動:市民のための統合医療塾 ”コメディカル編”企画・運営
2009年8月
“ナイチンゲールこの指とまれ”Ns.のWLBのための実態調査スタート
2009年8月31日~9月1日
日本初ファンドレイジングイベントにて、ナイチンゲールスピリッツ委員会の活動“ナイチンゲールこの指とまれ”の広報
2009年9月
佃島小学校体育館にて、「ミニバスケットボールチーム佃BULUS」児童へインフルエンザの手洗い・予防・マスク装着指導の実施
2009年10月
FSUN 支部活動:市民フォーラム企画・運営(参加者約420名)
2009年10月31日
名古屋市立大学薬学祭にて地元NGOとして、“ナイチンゲール この指とまれ”広報とインフルエンザ予防対策を来場者に指導
2009年10月31日
予防対策のポイント(手洗い、マスク選びなど)を来場者へ実施。 愛知食育農園様のご協力にて、東海市富木産のみかんのつかみ取り行う。
2010年5月
他団体(一般社団法人)市民フォーラムを企画・運営(参加者約300名)
2010年7月
NPO統合医療塾 症例発表会にて、「M−test」症例発表 富山にて、“ナイチンゲールこの指とまれ”アンケート結果総括とスリーピングNs.人財活用について、講演
2010年11月
他団体(一般社団法人)市民フォーラムin名古屋の企画・運営(参加者約170名)ナイチンゲールスピリッツ委員会講演と活動報告
2011年1月
ナイチンゲール独立社団設立準備開始
2011年4月
東北大震災支援のため、D&A医療チーム発足メンバーとなる。D&Aのサイトはこちら http://ganbappetohoku.com/
2011年4月25日
一般社団法人ナイチンゲールスピリット連盟設立
2011年5月
依頼にて、看護師のためのセミナー企画、東京にて開始
2011年5月14日~5月31日
被災地医療支援のため、ナイチンゲールメンバーバトンタッチリレーにて気仙沼市本吉町病院にてボランテイア活動
2011年5月
ミレニア・ホールディングス株式会社(アメリカ本社)と、アメリカ海外研修提携
2011年6月24日
国営放送、京王フローラルガーデンイベント共同企画事務局の依頼にて、 気仙沼市立鹿折小学校、本吉総合支所へ、お花を届ける
2011年7月
有限会社 メディカル情報サービスと提携にて、「医療スタッフのためのスキルアップセミナー」企画開始。同時に、「NIS 看護力アップセミナー」スタート!開催地 東京・名古屋・大阪・横浜の4カ所で定期開催
2011年 夏~
随時、スリーピングナース復職相談・支援活動、市民の医療相談 随時うける
2011年10月16日
筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター/茨城県厚生連総合病院水戸協同病院と共同で、水戸にて「被災地復興記念看護研修会」企画、開催。関東を中心に各地より500名の看護職参加。収益の一部を 水戸偕楽園復興に寄付
2012年5月・9月
「医療スタッフのためのスキルアップセミナー」「看護力アップセミナー」香川会場開催
2012年7月
「医療スタッフのためのスキルアップセミナー」「看護力アップセミナー」福岡会場開催
2013年 夏
被若手薬剤師へ、バイタルサイン講習実施
2013年 秋
地域医療に特化したカリキュラムにて、介護系事業書に出張セミナー実施。ミレニア株式会社 足の診療所連携にて、大阪足の診療所企画に携わる
2013年 冬
足病学に基づいたフットケア メディカルカリキュラム着手
2013年9月~11月
賢ママアンケート関東・中部にて実施
2014年2月
アメリカ足病学カリキュラム導入の一般社団法人プレメディカル・YOBO協会 立ち上げ。フットケアスクール 「足の大学」メディカル部門カリキュラム作成開始
2014年5月1日
代表理事に、飯田 昌代が就任いたしました
2014年7月
一般社団法人プレメディカル・YOBO協会 「足の大学」メディカル部門カリキュラム完成
問合せ窓口: ns@ns-spirit.com